今回は光源氏のライバル、頭の中将の登場です。 朱雀院への行幸に先立って、帝は当日参列出来ない藤壺の宮のために宮中で試楽を催 します。 光源氏は頭の中将と共に紅葉のもとで雅楽「青海波」を舞います。 多いときには8人で舞うほど広い舞台で、二人舞の難曲を見事にこなす二人。 これを見る藤壺の宮は光源氏との不義の子(のちの冷泉帝)を懐胎中。 やましい事が無ければどんなにかこの日を楽しめたことであろうか・・・。 同じ画題で数多くの絵画が残っていますが、原作に詳細な衣装の記述が無いため色々な装束で描かれています。雅楽の装束が完成したのが安土桃山時代と言われているので、それ以前のものとなると歴代の画家達も知恵を絞ったのでしょう。まして舞い姿とは言っても、それを職業としていた楽人ではなく、貴族の子弟の舞姿となると??? 映画「千年の恋」では武官用の冠と文官用の袍を組み合わせ、さらに「青海波」には必要のないはずの扇を持っていました。いえ、もちろん映画「千年の恋」にケチをつけるつもりはありません。当時のものをそのまま再現しても、それを現代人が見て美しいと感じるとは限りませんもの。 たとえば、沢口靖子主演の映画「竹取物語」では衣装担当のワダエミ氏は「実物を再現しても映画ではインパクトが足りないので、十二単は5割増し大きく制作した。登場人物の性格を衣装の色で表現したので史実とは異なっている」と明言されております。 一方、数ある歴史映画の中で一番史実に忠実と定評なのは、オリビア・ハッセー主演の「ロミオとジリエット」です。男性ストッキングの細部までしっかりと再現されておりました。 失礼、また脱線しちゃいましたね。 ここでは紅葉をかざした巻纓冠(けんえいかん)に・・・頭の中将は紅葉を、光源氏は菊を冠に挿して舞ったことになっています。 武官用の闕腋袍(けつてきのほう:わきが開いていて活動的、乗馬できる)を着せ・・・ 半臂(はんぴ:ベスト)と下襲(したがさね:後ろだけ裾が長い)を華やかなモノにしてみました。 左脇から半臂の結び紐である「わすれ緒」が見えます。ちょっとめくってみましょう。向かって右がわすれ緒、左がはかまの紐です。 腰には後ろを石や玉で装飾した石帯(せきたい)を締め・・・右に金の魚帯(ぎょたい)が下がっています 前には平緒(ひらお)が下がっています。本来は平緒は青色なんですが、どうしもしっくりこなかったので、赤色に金縁をつけました。 平緒から太刀が下がっています。太刀は厚紙を重ねて厚みを出し削り着色、レースペーパーで装飾しました。 絹糸を編んだ糸靴(しかい:裏は鹿皮)という舞台用の靴をはいています。 糸靴はシャンタンと皮で作りました。 日本ヴォーグ社「ジェニーno16」に掲載されましたが、前作「若紫」ではなく、本ではこちらが受賞したことになっていました。考えてみれば「ジェニーのひな祭り」なんだからリカちゃんで受賞するわけなかったんですわ。イベント初参加だったとはいえ失礼いたしました〜。 2003.10.06記 (人形屋) 2009.5.3追記 後から。腰の石帯が見えます。右腰に金色の魚帯(ぎょたい)がわずかに覘いています。 右から。半臂と下襲の袖が鮮やかです。裏が赤の表袴(うえのはかま)の結び紐の余りが見えます。 鞾(かのくつ) 礼装用。最後までどちらの靴にしようか迷いました。
by ningyoya7
| 2007-11-11 16:30
| 日本の服飾の歴史
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